学校ブログ

3年生着衣泳

 昨日の夜の雨はすごかったです。私(校長)の自宅は久喜市ですが家の前の道路が少し冠水するほどでした。線状降水帯の形成によるゲリラ降雨には、気を付けないといけないですね。

 三年生が、水泳の締めの学習として、着衣泳を行いました。汚れてもOKな服を着たままプールにきた子どもたちは、シャワーを浴びるなり「きゃあ~~~」と大絶叫。いつもと違う水泳の学習が始まりました。

 水に入った子どもたちが驚いたのが、服の重さです。「こんなに重くなるの?!」「動きにくい!!」ただ、水に入って、出ただけなのに、いつもとの違いにみんなびっくりしていました。

 次に、歩いてみると、さらにびっくり。「歩きにくい!!」

 水から出た子どもたちに話しかけると、「こんなに重くなるなんて、思わなかった。」「すごく、歩きにくかった。」と口々に述べていました。そこで、「そうなんだよ。だから、服を着たまま泳ぐと、あまりの重さにびっくりして、パニックになって、疲れてしまって、おぼれちゃうんだ。」と伝えると、「あーそうか!」と納得した様子でした。

 今から30年以上前になりますが、北海道でいかだ遊びをしていた5人の高校生が、急流に流されるという事故が発生しました。そのうち3人は残念ながら命を落とし、2人は助かりました。皮肉なことに、亡くなった3人は泳ぎが得意で、2人は泳ぎが苦手だったそうです。泳がなかった2人が、助かったのです。

 子どもたちが体験したように、着衣のまま水に落ちると、服がめくれあがって視界をふさぎます。そのあと、想定外に重くなった衣服が手かせ足かせになり、体力を奪い、パニックに陥ったままおぼれてしまうケースが多いのです。着衣のまま水に落ちた時、するべきことはただ一つ。「何かにつかまって、泳がず、救助を待つこと。」これに尽きるのです。

 日本のプールは80センチ~1.2メートルほどです。しかし、ヨーロッパでは水深3メートルものプールを使って、まず着衣泳を体験させます。服を着せたままの子どもたちを、教師がえいやっと水に突き落とすところから授業が始まります。すると子どもたちは泳げないことに驚きます。そこから、落ちた時の対処法を学ばせる必然性が生じ、子どもたちは真剣に命が助かる方法を学ぶのです。日本の学校では、蹴のび→バタ足→クロール・・・、と競泳を教えていきますが、ヨーロッパでは「競泳の技能はボーナスのようなもの」ととらえ、着衣泳を重視し、命が助かる方法を真っ先に子どもたちに伝えるのです。日本の学習指導要領も、このヨーロッパの方針を学ぶ必要があるのではないでしょうか。

 毎年日本各地で多くの水の事故が発生し、尊い命が奪われていきます。私たちはその事故から学び、その犠牲を決して無にしない努力をすべきだと思います。