学校ブログ

ノート、クロームブック、黒板、モニター。それぞれの役割

 朝夕はだいぶ冷え込んできましたが、日中の暑さは相変わらずです。

 3年生の算数の授業の様子です。この授業では、黒板とモニターを使い分けています。黒板とモニターは、それぞれ役割が異なります。モニターは情報をカラーで素早く提示しますが、画面が切り替わるため情報を残しておくことができません。黒板は書くのに時間がかかりますが、その分、情報を残すことができます。そのため、子どもたちが自分で問題を解くときに、黒板に出ている解き方や公式を参考にすることができます。そして、子どもたちはノートを一生懸命写しています。脳科学の面からも、手を使って書き込むほうが前頭前野を活性化して、学力の定着が促されることが明らかになっています。

 4年生が道徳でクロームブックを使っています。モニターに映し出されているのは「心の色」。道徳では意見の対立を生む教材があります。例えば、足の不自由な方が横断歩道を渡ろうとしていた。手を貸してあげるか、怖くてためらうか、などの授業です。それぞれ考えの理由について意見を交換し合い、考えを深めていくことが授業の大切なポイントです。

 先生は、それをクロームブックを使って赤と青の色分けで表しました。子どもの心の中は赤一色、青一色ではありません。それぞれ「色の割合」があります。その割合が、話し合いを通じて少しずつ変わっていく。それがいいのです。

 色分けは子どもたち一人一人のディスプレイにも映し出されるため、ほかの子の心の揺れもわかります。それを一つの材料にして、自分の心を深めていけばいいのです。こうしたクロームブックの使い方は、子どもたちの考えを深めるうえで、とても有効です。

 最後に、音楽です。アプリが楽譜を自動演奏するので、五線に描かれた音符がどのようなメロディーを奏でるのかがわかります。実は、楽譜を読む能力はとても高度なもので、音楽の授業を受けただけではなかなか身に付かないのが現状です。しかし、こうしてクロームブックのアプリを使うと、機械が自動演奏してくれるので、だいたいのイメージが把握できます。子どもたちに音楽を親しませるための有効な方策です。

 ノート、クロームブック、黒板、大型モニター。それぞれ長短があり、学習の目的のために使い分ける必要があります。ディジタルデバイスの進歩には目覚ましいものがあり、できることがどんどん増えるけれど、ノートと黒板がなくなることはずっとずっと先になることでしょう。

 例えば、移動の手段がどんどん高速化されています。そのうち、空飛ぶドローンタクシーなんてものも出てくるでしょう。それは素晴らしいテクノロジーの進歩ですが、散歩や自転車の魅力も捨てがたいものがあります。景色に触れながらゆっくりと楽しむことは、空飛ぶタクシーでは決して味わえないでしょうから。それと同じかもしれません。あ、ちょっと昭和のノスタルジーが出てしまいました(笑)。